舌のみどころ

舌は、極めて繊細にできています。口の中で食べ物をモゴモゴしているときに魚の小骨やひっかかるものを感じ取り、うまーくひょいと取り出すことができますが、これは大変な感覚能力だと思います。また、味覚においても毒や体内にいれてはならぬものを瞬時に判断し吐き出します。いやはやたいしたものです。
東洋医学では、この舌を大変注意して観察します。なにを観ているかといいますと、舌は内臓でもなく外表にあるわけでもないところにあり、最も身体の状態によって変化することから舌の状態で身体の状態を伺っているのです。例えば、身体に熱がこもると舌は赤くなり、冷えると白くなります。また、水の流れが停滞し浮腫みがありますと舌も膨れ、枯渇してますと舌は細くカサカサしてきます。部分的な色の変化は、相当する臓に病変を疑います。細かくは、舌診の専門書があるほどですから深い診察材料となります。また、舌裏に2本太い血管がありますが、ここは最も外から血の色を伺えるところです。ですから、ここが太く黒いと血が濁っていることを表しています。健康な舌とは、ほんのり赤みがあり、潤いがあり、形のよい、うすーく苔がのっている舌です。やはり、赤子の舌にいきつきます。